特集『ソード・ワールド2.5サプリメント 泡沫世界モノクロマティカ』
冒険者たちの新たな舞台「泡沫世界(バブルワールド)」登場!
新しいコンセプトの世界をプレイするためのワールドガイド&データ+キャンペーンシナリオ。従来のソード・ワールド2.5の舞台となる「ラクシア」ではなく、「泡沫世界(バブルワールド)」と呼ばれる小世界が冒険の舞台となります。この世界では、ラクシアとは違う、独自のゲームルール、新たな世界設定や、戦闘での能力、魔物などが登場します。
「泡沫世界」とは?
冒険の舞台となるのは、「泡沫世界」と呼ばれる小世界のひとつです。泡沫世界は、ラクシア世界の表面に浮き上がった無数のあぶくに例えられています。これらのあぶくは、神々の戦いの余波によって生み出されていると言われています。それぞれの泡沫世界は、人族や蛮族、魔物、魔法など、ラクシアと共通している部分もあります。しかしながら、もとのラクシア世界には存在していない魔物や神々も存在しています。そして、時にはラクシア世界とはまったく異なる世界法則に支配されており、ラクシア人には理解すらできない異質な文化や文明を築いていることもあります。
物語の舞台「モノクロマティカ」
本書での冒険の舞台となるのは、泡沫世界のひとつである「白黒世界(モノクロマティカ)」です。モノクロティカの最大の特徴は、色彩がないことです。ほとんどすべてのものが白と黒と、その濃淡によって塗布されています。この世界において、色彩とは神に属するものです。そのため、色彩は尊ばれると同時に畏れられています。
モノクロマティカでは、色彩を持たない者は魔法を使えません。このため、大多数の人々が魔法を使えないため、魔法文明が発達しておらず、代わりに「紅血回路(こうけつかいろ)」と呼ばれる機械技術が発展途上にあります。「紅血回路」は、特殊な真っ赤な液体に〈剣のかけら〉を溶かし込み、その力を引き出して機械を動かすという技術です。これにより、「紅血列車」や「紅血灯」などが生み出されました。
人族は、「紅血回路」の恩恵によって、多層構造の巨大都市を築いて生活しています。これらの都市は、強固な城壁に守られており、おおむね、下階層、中階層、上階層の3つの階層に分かれています。都市の外には、さまざまな魔物が跋扈しています。中でも、色彩を持つ魔物は「異形」と呼ばれ畏れられています。
多層都市“スヴィニー”
“死還り”
死亡した後、モノクロマティカの世界で蘇った人々です。PCはモノクロマティカの世界を訪れるとき、ラクシアで一度死亡したものとして扱われ、“死還り”となります。
“穢れ”を得ることがなかったり、即座に何度でも蘇生したりと、多くが通常の蘇生と異なる点があります。“死還り”は色彩を持つことになり、魔法やそれに類する能力「ギフト」を使うことができます。また、人族だけでなく蛮族や魔物も“死還り”になることがあります。
“異形”と“彩濫(さいらん)”
“異形”とは、モノクロマティカの世界で色彩を持つ魔物です。“死還り”が蘇生を繰り返すことで神とのつながりが深くなりすぎてしまい、その結果、色彩が暴走(=“彩濫”)し、異形へと変貌してしまうのです。ほとんどの場合、自我も失われ、モノクロマティカの住人にとっては、対処できない脅威として認識されていますが、“死還り”であれば復活しないように倒せます。
ブギーソルジャー(人族)
“死還り”の兵士や傭兵たちが異形となった姿です。武装もそのまま身につけています。しかし、その肉体に帯びている色彩はデタラメです。さまざまな色が混じり合いながら、まるで生き物のように脈動し蠢いています。
ワープドバーサーカー(蛮族)
ワープドバーサーカーは、もっともおぞましい異形であるとされています。複数の蛮族が融合したような姿をしており、複数の頭部を持っており、3つ以上の腕や脚があります。恐ろしい膂力であらゆるものを引き裂き、叩き潰すと同時に魔法さえ行使して見せる個体もいるため、危険度は極めて高いと言えるでしょう。
“穢土(えど)”
“死還り”が“彩濫”を経て異形となった時、その場に撒き散らされた色彩に汚染された大地や周囲の環境をこう呼びます。“穢土”に長い間滞在していると、そのキャラクターは色彩に汚染されていきます。
モノクロマティカの神々
モノクロマティカには幾柱もの神々がいますが、その明確な数はわかっていません。モノクロマティカで広く知られている神々は、この世界から色彩を奪うことで大神に匹敵するほどの力を手に入れたとされる「絶望の根源アズナレプス」、「夢見る女神エティラエル」、「境界の番人ティルカト」、「時の娘ネラインガトス」、「混沌の遊戯者メドロ」の五柱です。
絶望の根源アズナレプス
アズナレプスは、モノクロマティカに絶望し、この泡沫世界が滅び去ることをだれよりも願っているとされる神です。
夢見る女神エティラエル
エティラエルは、モノクロマティカの過去と現在と未来の夢を見続けている神だとされています。
境界の番人ティルカト
ティルカトは、土地や領域ばかりでなく、概念の境界線をも守護する女神だとされています。
新たなる能力「ギフト」
〝死還り〟や異形が、モノクロマティカの世界でだけ使用できる、特別な能力です。モノクロマティカの神々から与えられた恩寵であり、主に戦闘中に敵を倒すために使用します。新たに「ギフト」を習得する時や、「ギフト」の効果を拡張する時などに、神々との契約の証となる契約印が必要となります。普段は見えませんが、ギフトを使用する時、体表や体の周囲に、色彩とともに浮かび上がります。
「ギフト」ラクシアに戻ると使用できなくなります。注意してください。
「ギフト」の一例
・【畏怖なる囁声】(いふなるしょうせい)
対象を指定し、強制的に移動させることができる。
・【相討結鎖】(あいうつむすびのくさり)
使用者と対象を呪いの鎖によって縛り付け、移動を制限し、より互いが痛打を受けやすくなる。
・【血濡茨棘】(ちにそぼついばらのとげ)
対象マスに存在する、使用者を除くすべてのキャラクターに「ギフトランク+1」点の魔法ダメージを与える。
など。
戦略的なバトルを楽しめるマス戦闘ルール
本作内での戦闘は「マス戦闘ルール」と呼ばれる、特別なルールで行います。「基本戦闘」をベースとしていますが、各エリアを細かく「マス」で区切っており、すべてのキャラクターはマスの中に配置されます。キャラクター同士の位置関係を考えて移動したり、特別な能力を使ったりする、新しい楽しみ方ができます。
モノクロマティカのキャンペーンシナリオ
本書には、3本のシナリオが収録されています。ラクシアで冒険者ギルドに登録したばかりの駆け出し冒険者が泡沫世界モノクロマティカへと渡り、ラクシアへの帰還を目指して繰り広げられる3話の連続したシナリオとなります。
とはいえ、1~3話をそれぞれまったく別々の独立したシナリオとして遊んでも構いません。
これらのシナリオは、シナリオ1から順番に同じPCを使って楽しむことを想定して作成されています。しかし、それぞれを独立したシナリオとして遊ぶこともできます。
これらの収録されているシナリオを遊ぶのに適した冒険者レベルと成長回数は、次の通りです。
・シナリオ1「境界の彼方へ」:初期作成
・シナリオ2「狂信者の残夢」:成長回数2回、冒険者レベル3~4
・シナリオ3「純白の殺意」:成長回数5回、冒険者レベル4~5
シナリオに登場するNPC
ヴェルガザル・コンティ(ドワーフ/男)
紅血機関ル・ヴァイユ支部の支部長。筋骨隆々たるドワーフで、一見して頑固な職人といった雰囲気です。“死還り”ではないので色彩はありません。
シャロン・ペイジ(エルフ/女)
紅血機関ル・ヴァイユ支部の受付担当職員。ややウェーブのある髪をショートカットにしたエルフの女性で、常に紅血機関職員の制服を隙無く着こなしています。
エドメル(人間/男)
下階層にある〈単眼巨人亭〉という酒場を根城にしている情報屋で、優れた魔動機士でもあります。“死還り”ですが、目立つことを避けるために黒い眼鏡をかけています。
2024/03/18公開 2024/03/18更新