6/27『SW2.5サプリメント キャラクタービルディングブック』オンライン体験会レポート
6月19日に発売となった『ソード・ワールド2.5サプリメント キャラクタービルディングブック』。TRPGの醍醐味のひとつである、“自分だけのキャラクターを作る!”という点に特化した新しいサプリメント(追加のルールブック)だ。
本書を使えば、従来のソード・ワールド2.5のキャラクター作成方法とは異なるアプローチで、キャラクター作成をすることができる。
戦士、魔法戦士といったあなたの作りたいキャラクターのカテゴリと種族を選んだあとは、“あなたのキャラクターがどんな人生を送ってきたのか”という経歴(設定)を決めていくだけでキャラクターのゲームデータが完成する。そんなお手軽なキャラクター作成ルールが、本書のポイントだ。
経歴は、表の中からサイコロを使ってランダムに決めたり、好みのものを選ぶだけ。
生まれた環境、少年期の経験、ハプニング……様々な経歴を繋ぎ合わせていくことで、あなたのキャラクターがどんな人生を送ってきて、何故冒険者になってきたかが自然と浮かび上がってくる。
あなただけのキャラクターでプレイすることで、セッションも盛り上がること間違いなし!
ソード・ワールド2.5のルールやデータに詳しくなくてもキャラクターを作ることができるし、経歴を通して世界設定を知ることもできる。ソード・ワールド2.5初心者には特にオススメのサプリメントになっている。
追加ルール(選択ルール)として、あなたのロールプレイに始まりの剣が応える、“剣の恩寵”ルールや、1~4レベルで使える魔法や戦闘特技、アイテムなどもまとめて収録。シリーズ経験者にとっても、便利に使える一冊だ。
オンライン体験会レポート
そんな『キャラクタービルディングブック』のオンライン体験会が、6/27(土)に開催された。
オンラインセッション用のツールである「ココフォリア」と、音声通話を行う「Discord」を併用した環境での実施となった。
体験会は、全部で5つのルームで実施。11:30からの前半の部・16:00からの後半の部の計2回で、総勢30人以上の参加者の方々にお越しいただいた。
体験会のプログラムは、約2時間ほどの「キャラクター作成」と約1時間ほどの「体験セッション」の2本立て。まずはキャラクター作成からスタート。
キャラクター作成
『キャラクタービルディングブック』のキャラクター作成は、左のような手順で行われる(『キャラクタービルディングブック』より抜粋)。
「1.コースを選択する」では、持っているルールブック(Ⅰ~Ⅲ)に合わせたコース選択が可能だ。基本コース(Ⅰのみ)、発展コース(Ⅰ・Ⅱまで)、フルコース(Ⅰ~Ⅲ全て)を選ぶことができるため、ルールブックⅠのみでも問題なくキャラクター作成を楽しむことができる。
「2.カテゴリを選択する」「3.タイプと種族を選択する」で、キャラクターの能力の方向性と種族を決めたら、お待ちかねの「4.経歴を決める」。サイコロを振っていくだけで、どんどんキャラクターができあがっていく。 経歴を振るたびに、その結果を活かして「つまりこういうことがあったんだよ!」「~っていう設定はどうかな!?」などと、初めて一緒に通話をするメンバーとは思えないほど大いに盛り上がった。
「6.装備品セットを選択する」では、キャラクターの能力と適性に合わせて用意された装備品セットから好みのものを選ぶだけで、最初の冒険に必要なアイテムをまとめて手に入れることができる、わかりやすい設計になっている。
もっと詳しく『キャラクタービルディングブック』のキャラクター作成を知りたい方は、本書収録のみかきみかこ先生によるマンガがWebでも特別に公開されているので、そちらをチェックいただきたい。
折角なので、今回の体験会で生まれた新たな冒険者の一人を紹介しよう。
「1.コースを選択する」では、今回は「基本コース」をチョイス。オーソドックスで王道なキャラクターが生まれるはずだ。間違いない。
「2.カテゴリを選択する」では、一緒に冒険する皆さんと話し合った結果、「魔法戦士カテゴリ」を選ぶことに。バランスよい立ち回りが期待できるはずだ。
次は、「3.タイプと種族を選択する」。まずは、タイプの選択から。「基本コース」では「魔法戦士」と「魔法剣士」の2択。
悩んだ結果、選ばれたのは「魔法剣士」。種族はタイプごとに決まっていて、「基本コース」で選択できるのは「人間」と「エルフ」。ここでは、バランスのいい「人間」が選択された。
さて、お楽しみの「4.経歴を決める」。
表を順に振っていったところ、以下のような結果となった。
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この後はデータの計算(計算の仕方はキャラクターシートに書いてあるので、基本的にはそれに従うだけでOKだ)を行ないつつ、装備品の決定などを行った。
こうしてキャラクターは完成。
性別は女性、名前はランダムに決めた結果、「ネリー・タナー」となった。
冒険者の子供に生まれて、幼少期を自然の中で過ごし、戦いの理を学んだ……幼い頃から冒険者だったお父さん、お母さんに連れられて旅をしていた、ということに(当初さらっと流してしまったが、こうして書き起こしてみるとかなりハードな経歴である)。
12歳の頃には、立派な仕事に就くことができた。
冒険者の両親はどうなったの!? と驚きの声があがったが、どうやら幼い頃から冒険者としての生活に身を置きすぎて、他の生き方をしてみたくなったとのこと。12歳といえば、たしかにそろそろ自分の人生について考えてもおかしくない頃だろうか?
具体的な仕事については、思いついたら……ということでとりあえずは棚上げ。経歴をどう取り入れるかは自由なので、無理に全てを作成時点で考える必要はない。
もしキャンペーンプレイ(同じキャラクターで続けて遊ぶ場合)であれば、後から伏線として使うこともできる。
しかし、冒険に出た理由は「他に生き方がなくて」。結局、根っこの部分は冒険者だったということだろう。
街で平穏に暮らしていたが、やっぱりこれしかない! と冒険者稼業を再開することに。
どこまでも冒険者らしすぎるキャラクターとなった。
ゲームデータとしては、「魔法剣士」として「コンジャラー」技能を習得していたことに加え、「戦いの理を学ぶ」による「スカウト」技能、「戦場の要として」による「防具習熟A」で、やや支援・防御よりな安定感のある形にまとまった。
見た目は、ちょうど『キャラクタービルディングブック』の、魔法剣士カテゴリのイラストがイメージにピッタリ、ということでそれを使っていただき、いよいよ冒険へ……!
セッション体験
約2時間ほどが経ってキャラクターができたら、次はいよいよセッション体験。
「港湾都市ハーヴェス」の冒険者ギルド「ドラゴンファイア」に辿り着いた新米冒険者たちは、ここで初めて出会うことになった。
(みんなで一緒に表を振ったりしているので)大体お互いの背景は知っているものの、どんな設定のまとめ方をしたのかがわかるタイミング。
今さっき作ったキャラクターだというのに、サラサラと設定やセリフが飛び出してきて、ここでも大盛り上がり。今回は、設定を踏まえて自己紹介の名乗りをしてもらった(新しいルールである“剣の恩寵”を使うための重要なポイント)。
自己紹介を終えた冒険者たちの前に、冒険者ギルドの受付のリーナさんが依頼を手にやってくる。ここから、新米冒険者たちの初めての冒険が始まる――!
依頼の内容は、「街の近くにある農場の見回りをしてほしい」というシンプルなもの。最近は付近で蛮族などは見つかっておらず、駆け出しの冒険者には危険度の低いピッタリの依頼とのことだが……?
ちなみに、冒険者ギルドのリーナさんは、ルールブックⅠの掲載シナリオである「蛮族を駆逐せよ」にも登場する。『キャラクタービルディングブック』では、そのシナリオを題材にしたリプレイを掲載するにあたって、笛吹りな先生にイラストを描き下ろしていただいた。
リプレイでは、キャラクター作成から冒険の流れや、簡単なルール解説までまとめて収録されているので、初めて『キャラクタービルディングブック』を使って遊ぶ際には、大いに参考になるだろう。もちろん、シナリオ「蛮族を駆逐せよ」の重要な点は伏せつつ進行するので、リプレイを読んでも、シナリオは問題なくプレイ可能だ。
農場に辿り着いた冒険者があたりを探索すると、何と蛮族の痕跡を発見!(注:「蛮族」とはソード・ワールドに登場する、プレイヤーキャラクターたち「人族」と長きにわたって戦いを繰り広げてきた不倶戴天の敵のことだ)
予定外の遭遇であったが、農場で働く人々たちを守るため、冒険者たちは初めての戦いを決意する……!
敵は、「ダガーフッド」に「ボルグ」。「ボルグ」は3レベルの蛮族で、2レベルの冒険者たちにはなかなかの強敵だ。
しかし、“剣の恩寵”のルールもあって、戦況は冒険者たちに有利に傾く(注:少なくとも筆者のルームでは。他のルームでは、10ラウンドを超える死闘となったという報告もあった)。
“剣の恩寵”――『キャラクタービルディングブック』で新しく追加された選択ルールで、ソード・ワールド2.5の世界「ラクシア」を作った3本の始まりの剣のうち1本「ルミエル」による力。
「ルミエル」は冒険に対して誓いを立てるものに対して恩寵を授ける(ここで、最初の自己紹介の際の名乗りや宣誓が重要になってくるのだ)。
その効果は絶大で、「自分の判定に+4」ないしは、「仲間の判定に+2」。
自分の見せ場に使ってもいいし、仲間の手助けにも使える強力な効果だ。ここぞという時に発揮される“剣の恩寵”の力もあり、蛮族たちは冒険者たちによって打ち倒された。
セッション終了
こうして、今回のオンライン体験会は終了となった。3時間という短い時間だったが、少なくとも筆者はGMとしてとても楽しむことができた。
その後の感想戦からも、参加いただいた方々にも楽しんでいただけたのではないかと手ごたえを感じている。終わった後のGM陣との振り返りでも、「自分のルームではこうだった」という楽しい話題が絶えることがなかった。
実際にプレイしてみて改めて思ったことは、『キャラクタービルディングブック』には想像以上の楽しさが秘められているということだ。
同じ経歴であっても、プレイヤーの発想や解釈、組み合わせ次第で、全く異なる設定のキャラクターが誕生する。
今回は、参加者の皆さんのアイデアに筆者も驚かされたり、思わず膝を打つようなことが多かった。 筆者も早く『キャラクタービルディングブック』で作ったキャラクターで冒険に旅立ちたいと感じた一日だった。
2020/06/29公開 2020/07/09更新