常夜国騎士譚RPG ドラクルージュ シナリオ 「蒼穹に捧ぐスケルツォ」 ◆シナリオ諸元 推奨プレイヤー:2〜4人 推奨逸話数:1 篇:2  このシナリオは、常夜国騎士譚RPGドラクルージュサプリメント『ヘレティカノワール』 のデータに対応している。  本文内における「基本」という記述は、常夜国騎士譚RPGドラクルージュ基本ルールブックを指す。また、「HN」という記述は、サプリメント『ヘレティカノワール』を指す。 ◆注意  このシナリオには、敵NPCとして『焼き尽くすもの』が登場する。消滅の可能性があることを、事前にプレイヤーへ説明すること。 ◆物語の概要  最古の始祖セイズマリー公の治める地ダストハイム。  その領地に、焼き尽くすものが現れるという忌まわしき事態が発生した。  焼き尽くすものは村々を焼き、民の救助に駆け付けた騎士さえも滅ぼし、忽然と姿を消したという。  焼き尽くすものを率いるように立つ金色の髪の男を見たという話もある。  太陽の信者の暗躍は、もはや疑うべくもなかった。  セイズマリー公は太陽討伐の決断を下し、一騎当千の騎士たちが断罪の剣を執る。  しかし、それは常夜国を脅かす恐るべき狂気のきざしに過ぎなかった。  かくて運命の一夜が幕を開ける……。 ◆物語の真相  ラインハルトは太陽の信奉者である。  彼は民の身でありながら卓越した叡智を持つ、いわゆる天才であった。セイズマリーはその才能に目をつけ、禁忌である「太陽についての研究」を彼に依頼していた。しかし、ラインハルトの探究心と才能はセイズマリーの予想を上回っていたのである。  ラインハルトは研究を進めるうち、「失われた青空を見たい」という欲求を持つにいたった。  欲求に突き動かされ、青空を取り戻す手段を模索する彼の前に、ある日、太陽の使徒が現れ、焼き尽くすものを制御する術と太陽の力を与えたのだ。こうしてラインハルトは太陽の信者となり、姿を消したのである。  彼の目的は、月(ドラクル)の直系でありドラクルと強い結びつきを持つセイズマリーに太陽の欠片を埋め込み、太陽の化身へと変えることである。これにより、いにしえの魔術(感染呪術)の法則を利用して太陽の力を月へと送り込み、月を太陽に変化させることができる、とラインハルトは考えている。  そのためにPCBの正体と目的を利用し、大図書館の見取り図を手に入れたのだ。 ◆NPC ■“書斎公”セイズマリー・ドラクル・ダストハイム  性別:女性 叙勲年齢:17歳 騎士暦:約2400年 【概要】  PC@の主であり、もっとも古きダストハイムの当主である。  領内にて発生した焼き尽くすものを討伐する命をPC@に下す。  統治に無関心である彼女が、このような命を下すことは異例の事態と言える。  外見や詳細については、ワールドセクション(基本135ページ)を参照するとよい。 【真相】  セイズマリーは、ラインハルトに太陽についての知識を与え、研究を依頼した人物である。  ラインハルトの堕落の遠因とも言えるだろう。  彼女の目的は、あくまでも敵対勢力の分析と知識の蒐集であり、悪意からのものではない。  ラインハルトの行動については、彼の才能を惜しみ、民に対して軽々に知識を与えたことを悔いているようだ。  なお、セイズマリーはラインハルトに叙勲の誘いを行っていない。  これは、ラインハルトとPCAとの関係を知っていたためである。 ■ラインハルト  性別:男性 年齢:25歳 騎士歴:なし。彼は人間である。 【概要】  くすんだ金の長髪に同色の瞳を持つ線の細い青年。  物静かな振る舞いとは裏腹に、知識への探究心にあふれた子供のような光を眼に浮かべている。  その才能ゆえか一般の民とは相容れず、村はずれの森の中に庵をかまえ自給自足の生活を送っていた。  常夜国における常識的な感性に囚われておらず、騎士を敬わず異端を恐れない特殊な価値観を持つ。  そのためかPCAとも対等な関係で付き合うことができていた。  ある日を境に失踪する。  その間、PCBとは冒険を共にし、友情を結んでいたようだ。 【真相】  ラインハルトの目的は、失われた青空を取り戻すことである。  彼は逸脱した天才であり、セイズマリーから与えられた太陽の知識を元に研究を発展させ、ついには月を太陽に変える秘術を編み出すことに成功した。  そのような彼を、太陽復活を目論む『太陽の使徒』が見逃すはずもなく、またラインハルト自身にも、太陽の使徒の誘惑を拒む理由はなかった。  彼は太陽の使徒から『焼き尽くすもの』を制御する術と太陽の力を与えられ、自身の目的を果たすために行動を始めた。  セイズマリー領での焼き尽くすものの活動は、大図書館の戦力を削ぐためにおこなわれた陽動作戦である。  PCAへの愛情やPCBへの感謝は純粋なものであり、目的のために彼らを犠牲にすることについては少なからず心を痛めている。 ・注意  ラインハルトの秘術は、彼の独自の理論に基づくものである。PCの危機感をあおるため、シナリオ内では「可能なもの」として扱うが、ゲーム的な効果は持たない。  DRは、シナリオの結末に関わらず秘術の効果は描写せず、また、その効果も保証はしないこと。 ■焼き尽くすもの  性別:なし 年齢:なし 騎士歴:なし。太陽の勢力は騎士にはなり得ない。 【概要】  活性化した太陽の欠片。炎の巨人。  すべてを焼き尽くす太陽の力の化身であり、常夜国における最大の脅威である。  意思や思考らしいものはなく、荒れ狂う災害といったものに近い。  全身から炎を噴き上げる10mを越える人型のような外見をしているが、顔といえるものは存在しない。  本来は民や騎士の区別なく滅ぼすだけのものであるはずだが、ダストハイム襲撃事件においては、金色の髪の男の命令に従うかのような姿が目撃されている。 【真相】  太陽の使徒がラインハルトに与えた力の一つ。  特殊な術式によって制御されているため、ラインハルトの命令に忠実に従う。  なお、この術式はいかなる理由があろうとも、騎士や異端が使用することはできない。 ◆ハンドアウト  PCAとPCBは、プレイヤーがヘレティカノワールを所持している場合、異端のPCを使用してもよい。  その際は、「貴卿」の記述を「御身」に変えて使用すること。  また、PCBのハンドアウトは【秘密】(HN237ページ参照)を持つ。ハンドアウト選択後、他のプレイヤーには内容を隠して渡すこと。 ■PC@ 騎士限定  消えざる絆:セイズマリー【主か恋】 推奨の道:近衛・賢者 ・序言  貴卿はセイズマリー公から直々に叙勲を受けた騎士である。  主からの寵愛も厚く、彼女の居城たる大図書館に仕えている。  偉大な始祖である彼女に捧げる感情は、主従としての範疇には到底収まらない。  彼女こそ貴卿の誇りであり、彼女に仕える日々こそ貴卿の喜びなのだ。  焼き尽くすものの活動が報告されたのは、そのような折であった。  忌むべきことに、すでに少なくない数の民と騎士が犠牲となっているという。  領主たる彼女の悲しみは察するに余りある。  焼き尽くすものを討伐し、主の憂いを晴らすため、貴卿は居城を立つのであった。 ■PCA 騎士または異端  消えざる絆:ラインハルト【友か恋】 推奨の道:夜獣・狩人/野伏・魔女 ・序言  ラインハルトは、貴卿にとって特別な存在であった。  まだ見ぬ知識を探求する彼の瞳には、いつも子供のような光が浮かんでいた。  そんな彼の瞳を見るのが貴卿は好きだったのだ。  だが、数年前のある日、彼は突然貴卿の前から姿を消した。  彼を思い出すたびに、貴卿の胸には別離の痛みが走る。  ラインハルトらしき男が焼き尽くすものと共に目撃されたという噂を聞いたのは、そんな時であった。  貴卿はいてもたってもいられなくなった。  もう一度彼に会うために、貴卿はダストハイム領へと向かった。 ■PCB  消えざる絆:ラインハルト【友か怒】 推奨の道:遍歴・狩人/密使・流浪 ・序言  ラインハルトは、貴卿のよき友であった。  民でありながら賢者に勝る英知を持ち、貴卿を畏敬も恐怖もしない才人。  彼の在り方は小気味よく、冒険を共にする中で、貴卿はどんどん彼に惹かれていった。  だからこそ、彼の裏切りは貴卿を深く傷つけた。  彼は貴卿の大切なものを奪い、貴卿の元から姿を消した。  傷心も癒えぬうち、貴卿はダストハイム領に焼き尽くすものが発生したという噂を聞く。  その場にいたという男こそラインハルトに相違あるまい。  忌むべき太陽を滅ぼすため。  そして、友と信じた男と再びまみえるために、貴卿はダストハイム領へと向かった。 【秘密】  貴卿は“美麗公”グランツ・ローゼンブルクの配下である。  野心多き主の命により、ダストハイム領の情報を集めるべく潜入している。  ラインハルトとは、そのような日々の中で出会った。  彼は貴卿の正体を看破し、なお力を貸してくれた。  彼こそは、敵地にて本心を明かせる唯一の心の拠りどころであったのだ。  だが、ある情報を手に入れると、彼は姿を消した。  その情報こそ、セイズマリー公の居城たる「大図書館の見取り図」である。  それは貴卿の主が求めていた情報でもある。  彼から情報を取り戻さなければならない。 ■PCC  消えざる絆:焼き尽くすもの【殺か仇】 推奨の道:遍歴・近衛 ・序言  貴卿はダストハイム領の騎士に仕える騎士であった。  先頃、貴卿と主は不穏な噂を聞いた。  領内において太陽の勢力らしき集団の活動が確認されたというのだ。  心優しき貴卿の主は各村を巡回することで民を安心させ、治安を維持することを決めた。  焼き尽くすものが村を襲ったのは、まさしくその時のことであった。  必死の抵抗も虚しく主は灰と化し、守るべき民さえも失われた。  炎に包まれ崩れ落ちていく主の姿が、貴卿の目に焼き付いて離れない。  この遺恨を、どうして忘れることができようか。  傷の癒えるを待つことさえなく、貴卿は太陽の勢力を追って駆け出した。 =====【セッションの手引き】===== ◆開演前 ■序の幕  基本ルールブック223ページの手順に従って、「開演前」の項目を行う。  DRは4種類のハンドアウトから、PLらにハンドアウトを選択してもらう。  PCが3名以下なら、必ず「ハンドアウト:PC@」と「ハンドアウト:PCA」が選択されるようにすること。PLが2人なら、「ハンドアウト:PCB」と「ハンドアウト:PCC」は提示しなくてもよい。  PCの自己紹介は特に希望がなければ、ハンドアウトの順番で行うのがよいだろう。 ●状況説明  DRは「物語の背景」を読み上げるとよいだろう。必要に応じて、専門用語や世界観などの補足を入れること。  また、最初の幕の前段として、以下のような演出を入れてもよい。  それは地獄の光景であった。  燃え盛る巨人が腕を一振りしただけで、その村は炎に包まれた。  逃げ惑う母を、泣き叫ぶ子を、紅蓮の舌が等しく舐める。  炎がごうと笑うたび、生きたまま焼かれる誰かが凄絶な断末魔をひりあげる。   その地獄を見下ろす一対の目があった。  白い装束をまとった男が、燃える巨人の肩の上から、焼け落ちる村を観察していた。 「目的のための犠牲……とはいえ、悲しいものですね」  男は嘆息とともに空を仰いだ。  子供のような光を浮かべて、黄金瞳が月を射抜く。 「ならばこそ――あの穢れた紅き月に死を」 ---------------------------------------------------------------------------- ◆一の篇  この篇は〔戦の幕〕、〔常の幕〕の順に幕を開いてゆく。   ■戦の幕  この幕では、太陽の信奉者たちのアジトへ騎士たちが襲撃をかけるところから始まる。PCたちはこの場面に辿り着くまでに合流していたことにしてもよい。PLから希望があれば、別々に辿りついてもかまわないが、かならず全員が登場するよう注意すること。  敵NPCとして太陽の信者が登場するため、DRは『太陽へのノワール』(基本246ページ)に関するルールを確認しておくこと。  また、この幕には『伏線』(HN236ページ)が存在する。DRは『伏線』のルールを確認しておくこと。 ●幕の諸元 ・NPC種別 〔端役〕太陽の信者(兵士役/基本264ページ) 〔脇役〕ラインハルト(基本266ページ「太陽の司祭」を参照) ・NPC配置 庭園:太陽の信者×(PCと同数)/宮廷:太陽の信者×(PCと同数)/玉座:ラインハルト ・存在点 ラインハルト:〔参加PC数×2〕+〔伏線:参加PC数×1〕点 ・行動値 ラインハルト:〔参加PC数×8〕 ・壁の華 太陽の信者:PCの任意。ただし、捕縛しても自害する。 ラインハルト:太陽の信者を盾にして姿を消す。捕縛はできない。 ・絆奏 焼き尽くすもの:【殺】 ●口上  DRは次の口上を読み上げる。  ダストハイム領内のある村に、夜な夜な墓地を歩く影がある。  情報を聞きつけて村を訪れた貴卿らは、太陽の信者と思わしき白装束の男が納骨堂に消えていくのを見た。  いわく、その納骨堂はいにしえの地下墓地へ続いているという。  もはや忌まわしき太陽崇拝者どもが地下墓地を隠れ家としているのは明らかであった。  死者の安息地を祭壇へと改造し、不埒なる邪教に耽っているのであろう。  決然と地下墓地へと踊りこむ騎士の姿こそ天罰の具現。  暗く湿った死者の寝床に華々しき鬨の声が木霊する。  悪しき者どもは一瞬で恐慌状態に陥った。  だが、その中に一人、貴卿らを静かに観察する男がいた。  くすんだ金の髪と瞳の男――忌むべき陽光の色を宿した男である。 「ようこそ、騎士の皆様。お待ちしていましたよ」  司祭を表す装束を揺らして、ラインハルトは静かに笑った。 ●詳細  この幕において場所は距離を表すため、情景描写を分ける必要はない。  なお端役として登場する以上の太陽の信者を、演出や描写として登場させてもよい。その場合、演出用の端役は〔壁の華〕として扱う。  ただし、部屋の規模から考えても、10〜20人程度にとどめるのがよいだろう。  DRは諸元に従い、NPCを配置すること。配置が終わればNPCの【存在点】を公開する。  その後、『太陽へのノワール』のルールを説明する。  これは特殊なノワールであり、キャラクターの消滅に関わるルールである。  このルールを伝えることで、より緊張感のある戦闘が楽しめるだろう。  また、この幕には『伏線』が存在することを公開し、ルールを説明する。  全てのキャラクターの配置が終われば、DRは基本ルールブック236ページの手順に従い、[戦の幕]のラウンド進行を開始する。 ・ラインハルトについて  騎士や異端に対して、ラインハルトは平等な態度で接する。のみならず、敵味方の区別なく活躍を賞賛してさえみせる。  それは、常夜国においては異質な振舞いである。RPを行う際は、彼の異常な価値観を強調するのがよいだろう。  PCAに対しては、諭すような優しい言葉をかけるだろう。  PCBに対しては、親しい間柄であることを隠そうともせずに話しかけてくる。  PCCに対しては、謝罪し、PCCの悲しみに同情さえするだろう。  なお、データとしては太陽の司祭を使用しているが、この時点のラインハルトはまだ民である。  彼は恐るべき才知によって焼き尽くすものの力を借用し、行使しているのだ。 ・ラインハルトの行動について  ラインハルトは、なるべく強敵として振る舞うべきである。  行動値を惜しまず太陽へのノワールを与えるのがよい。  彼を脅威的に演出するほど、ドラクルージュにおける太陽の脅威を表現できるだろう。  ラインハルトは存在点が0にならなくても、2ラウンド目が終了すれば撤退する。  演出は〔壁の華〕になった時のものと同じでよいだろう。  以下の演出を行うこと。  ○○卿(存在点を0にしたPC)の得物が炎を裂き、ラインハルトの肩口を深く穿った。  後退する司祭の白衣に、じわりと赤い血がにじむ。  驚くべきことであった。  これほどの太陽の力を行使していながら、彼の身はいまだ民のそれであったのだ。 「名残惜しいですが、お別れの時間です……時間稼ぎは任せましたよ」  ラインハルトが差し伸べた手から忌むべき太陽の炎があふれ出る。  させまじと踏み出した貴卿らの前に、太陽の信者が壁となって立ち塞がった。  一瞬の隙。  その間に、太陽の司祭は炎と共に姿を消していたのだった。 ・太陽の信者について  白い装束に身を包んだ民たちである。  狂信者であり、騎士との圧倒的な実力差を前にしても怯むことなく襲ってくる。  なお、ラインハルトが〔壁の華〕となった場合でも、太陽の信者たちは最後の一人まで抵抗する。  PCが太陽の信者を生かしたまま捕縛し情報を得ようと試みるかもしれない。  その場合でも、太陽の信者は止める間もなく自害してしまう。 ・伏線について  この幕の伏線は、「ラインハルトとセイズマリーのつながりを示唆する情報」である。  プレイヤーが伏線の調査を希望した場合、以下のような演出で公開し、ラインハルトの存在点を減少させる。  DRはプレイヤーの演出に合わせて情報の演出を自由に変更してよい。ただし、この時点では明確な証拠は提示せず、疑惑を生む程度にとどめておくのがよいだろう。  セイズマリー公の紋章が押印された封筒が見つかる。  セイズマリー公の使用する封蝋が見つかる。(PC@なら判別できてよい)  ラインハルトが「書斎公に感謝しなくては……」と口走る。  ・戦闘終了後  全ての敵NPCが〔壁の華〕になったら、以下の演出を行う。  ○○卿(〔壁の華〕にしたPC、異端ならば名前)の一閃が闇を走った。  最後まで抵抗を続けていた邪教徒が倒れ伏す。  すると、その懐から一巻の巻物が転げ出てきたではないか。  興味をひかれた貴卿が拾い上げてみると……おお、なんたることか!  それは、セイズマリー公の居城たる大図書館の見取り図であったのだ。  セイズマリー公に危機が迫っている! ●ラインハルトのセリフ 「素晴らしい腕前です。民ではこうはいきません」「驚きました、まだ立てるのですか? 」「これはこれは、驚嘆に値しますね」(太陽の信者が倒れた場合)「悲しいことです」 「あなたの犠牲を無駄にはしませんよ」 (PCAに対して)「そんな顔をしないで下さい、(PCAの名前、騎士なら+卿)。悲しくなってしまいます」「貴卿(御身)を傷つけたくはないのです……退いては頂けませんか?」 (PCBに対して)「やあ、久しぶりですね、(PCBの名前、騎士なら+卿)」「変わらぬ技量ですね、壮健な様子でなによりです」「ひょっとして……なにか怒っていませんか?」 ●太陽の信者のセリフ 「太陽の加護ぞあらん!」「太陽は正義なり! 我らは正義なり!」「穢れた月に呪いあれ!」「太陽万歳!(自害する)」 ■幕間  幕間の処理を行い、次の幕へと以降する。 ---------------------------------------------------------------------------- ■常の幕  この幕では、セイズマリー公の居城で、事件の報告を行う場面が描かれる。PCは、NPCや他のNPと交流しながら、この物語の真相に迫っていくことになる。 ●幕の諸元 NPC種別 〔端役〕司書(味方役/基本264ページ) 〔脇役〕セイズマリー(データ参照) NPC初期配置 庭園:なし/宮廷:司書×2/玉座:セイズマリー、司書×2 存在点 セイズマリー:〔参加PC数×4〕点 行動値 セイズマリー:〔参加PC数×8〕 壁の華 セイズマリー:読書を始める。エリアからいなくなる。 侍女:仕事に戻る。エリアからいなくなる。 絆奏 セイズマリー:【任意】 ●口上  DRは次の口上を読み上げる。  太陽崇拝の邪教徒どもを見事に討ち果たした貴卿らは、一路当主の居城へ向かった。  知識の蒐集者たるダストハイムの本城は、堅牢な城郭ではない。  常夜にそびえる巨大な図書館こそが、もっとも古き始祖が座す場所なのだ。  到着した貴卿らは、間もなく館内に通された。  蔵書を満載した巨大の書架が無限に立ち並ぶ大図書館の最深部。  本の山に咲いた花のように、木製のステップに腰掛けた少女の姿があった。 「お帰りなさい、(PC@の称号)卿。それに、(PCA〜Cの名前、騎士なら+卿)」  名乗りを聞くより先に、少女は貴卿らの名を読み上げた。  なにを驚くことがあろうか。  彼女こそ英知たるダストハイムの象徴、無限書庫の主セイズマリー公なのだから。  読んでいた本を閉じると、偉大なる公爵はこくりと首をかしげた。 「では、貴卿らの知識を聞かせてくれますか?」 ●詳細  DRは諸元に従いNPCを配置し、全てのNPCの存在点を公開する。  その後、PCたちをそれぞれ「宮廷」もしくは「玉座」に配置してもらう。  この幕において「玉座」は大図書館の中央、無数の書棚が並ぶセイズマリーの居場所を示す。セイズマリーは謁見に応接室や玉座を用いず、書棚の間にある簡単なテーブルと椅子で済ませてしまう。 「宮廷」は図書館内部の様々な場所を示す。たとえば廊下や厨房、司書室や従者の居住区などもあるかもしれない。DRはPCの希望に応じて館内を自由に演出してもよい。 「庭園」は図書館内に設けられた中庭となる。宮廷にも言えることだが、調度に興味のないセイズマリー公の居城には、豪奢な装飾は期待しない方がよいだろう。  全てのキャラクターの配置が終われば、DRは基本ルールブック236ページの手順に従い、[常の幕]のラウンド進行を開始する。  全PCは絆奏として、「セイズマリー:【任意】」を得る。これはルージュとノワールのどちらを得るかも、各プレイヤーが選択してよい。  セイズマリーが〔壁の華〕になっても、幕の終了までPCは互いを対象として常の幕を続けてかまわない。  2ラウンド目終了時、図書館の各所から炎があがり、最深部に炎の巨人『焼き尽くすもの』を従えたラインハルトが現れる。手に入れた見取り図を利用し警備を掻い潜ったのだろう。 ・セイズマリーについて  飾り気のない素朴な少女の姿をした騎士。その正体は無限の知識を有する最古の始祖の一人である。  社交や政治に関心がない彼女は、ルージュを得る機会が少ない。そのため、ルージュを与える「行い」を拒否することはないだろう。  セイズマリーは、ラインハルトに太陽についての知識を与えたことを隠そうとはしない。  太陽の知識を求めるという行為自体は常夜国において忌避されるものだが、ダストハイムの血統と彼女の特性を考えれば、納得のできる行動といえるだろう。 ・司書について  知識の収集を第一とするセイズマリーに使える侍女である。セイズマリーが社交を好まないこともあり、飾り気のない事務的な者が多い。  それだけに、華やかな騎士の行いには 不慣れである。彼女らのうぶな反応は、騎士たちに潤いを与えるはずだ。  また、夜獣や異端のPCに対しても比較的平等な反応をする。 ●セイズマリーの情報について  セイズマリーは次の情報を持っている。PCの「行い」や演出に応じて適切な情報を与えること。  セイズマリーの口調などは、変更してもかまわない。 ・セイズマリーの知識について 「私の図書館から、私の許しなく知識が漏れることはありません。私、これでも公爵ですから」 ・大図書館の見取り図について 「ローゼンブルクかゲイズヴァルトか……あるいは私に不満を持つ実践探求派か。いずれかの手の者が、間者としてこの地に潜入したのでしょう」 ・ラインハルトについて 「民の中にも才知に優れた者は生まれます。彼もその一人です……彼ほど優れた英知の持ち主は、私の知識の中にも数えるほどしかいませんでした」 ・伏線について 「(少し迷うそぶりを見せ)……はい、知っていますよ。彼が何故、太陽の知識を得るにいたったのか? その答えです。彼に太陽の知識を与えたのは、私です」 「私は彼の才知を評価し、禁忌とされる太陽の研究を依頼しました。私たちの大敵たる太陽の知識を得ることは、必要なことでしたから」 ・太陽の知識を与えたことについて 「後悔しています……知識が、時に誘惑の果実となることを、私は誰よりも知っているべきだったのに……」 ・ラインハルトの目的について 「私にもわかりません。彼の探究心は、私の予想を超えていました……もはや、彼がどこを目指しているのか、誰にも理解はできないでしょう」 ●司書のセリフ 「……何かご用でしょうか?」「本をお探しでしょうか?」「まぁ……あ、し、失礼いたしました(頬を赤らめる)」「私はどのようにお答えすれば……こんなの、本には書かれておりません……」 ■幕間  幕間の処理を行い、次の幕へと以降する。 ---------------------------------------------------------------------------- ◆二の篇  この篇は〔戦の幕〕のみで構成される。 ■戦の幕  この幕では、大図書館に襲撃をかけた焼き尽くすものを迎撃する場面が描かれる。最終決戦の前哨戦であり、ラインハルトの目的が明かされる場面ともなる。 ●幕の諸元 ・NPC種別 〔端役〕ラインハルト(太陽の欠片/基本264ページ)、セイズマリー(熱烈な味方/基本264ページ) 〔脇役〕焼き尽くすもの(基本266ページ「焼き尽くすもの」を参照) ・NPC配置 庭園:ラインハルト/宮廷:焼き尽くすもの/玉座:セイズマリー ・存在点 焼き尽くすもの:〔参加PC数×3〕点 ・行動値 焼き尽くすもの:〔参加PC数×10〕 ・壁の華 焼き尽くすもの:地響きを立てて片膝をつく。 ラインハルト:後退する。捕縛・殺傷はできない。 セイズマリー:PCからであれば、図書館の防御に専念する。NPCからであれば、全ての力を振り絞り図書館に防御を施し、意識を失う。 ・絆奏 焼き尽くすもの:【殺】 ●口上  DRは次の口上を読み上げる。  突如、巨大な火柱が無限書庫の中心に巻き起こった。  熱風が書物を吹き飛ばし、猛り狂う紅蓮が書架を焼き尽くす。  そして、炎の中からそれは現れた。  大図書館の天井まで届かんばかりの、燃え盛る巨人。  凄まじいまでの灼熱を全身にまとった、それはまさにヒトガタの太陽であった。 「……焼き尽くすもの」  セイズマリー公の渇いた声を、業火の咆哮がかき消した。  忌まわしき太陽が生み出した災厄、常夜国に生きる全ての命の天敵。  それが、貴卿らの前に立ち上がったのである。 「無礼な訪問をお詫びいたします、セイズマリー・ドラクル・ダストハイム公」  焼き尽くすものの足下から、涼やかな声があがった。  太陽の司祭、ラインハルトの声であった。 「僭越ながら――貴卿の命を頂戴に参りました」 ●詳細  DRは諸元に従いNPCを配置し、全てのNPCの存在点を公開する。  その後、PCたちをそれぞれ「宮廷」もしくは「玉座」に配置してもらう。  この幕において場所は距離を表すため、情景描写を分ける必要はない。  全てのキャラクターの配置が終われば、DRは[戦の幕]のラウンド進行を開始する。  2ラウンド目終了時、または『焼き尽くすもの』の存在点が0点になった場合、次の幕に移行すること。 ・セイズマリーについて  無限書庫の蔵書は、常夜国の歴史であり、その中にはダストハイム騎士の果てである秘匿卿たちも含まれている。絶大な力を持つセイズマリーだが、この場面では大図書館を太陽の侵食から守ることに力を傾けているため、戦闘には参加できない。  また、この幕でセイズマリーが敵NPCからのノワールによって〔壁の華〕となった場合、[終の幕]にはセイズマリーが登場できない。DRは、この情報をプレイヤーに開示すること。   ・ラインハルトについて  ラインハルトは[一の篇]で受けた傷から、戦闘には積極的には参加しない。焼き尽くすものに指示を出したり、援護的な攻撃を行う程度に演出するのがよいだろう。  ラインハルトはPCAに対して深い愛情を抱いている。ラインハルトの目的について語る際は、PCAを犠牲にすることに苦痛を感じている演出をしてもよいだろう。  また、彼はPCBへの裏切りについては罪悪感を感じている。大図書館の見取り図についてのみ、PCBが明かしていない限り答えようとしない。   ・焼き尽くすものについて  焼き尽くすものは常夜国における太陽の脅威の最たるものだ。  焼き尽くすものは純粋な破壊の力の塊であり、思考や意思といったものをもたない。  たとえその体を破壊したとしても、苦痛を感じることさえないのだ。  DRはPCからの言葉や行いに対しても、一切の反応を見せる必要はない。 ●ラインハルトの情報について  ラインハルトは次の情報を持っている。PCの「行い」や演出に応じて適切な情報を与えること。  また、ラインハルトの最初の手番か、ラインハルトが〔壁の華〕になった場合にも情報を公開すること。  ラインハルトの口調などは、変更してもかまわない。 ・大図書館の見取り図 「(PCBが明かしていない)それは……答える訳にはいきませんね」 「(PCBが明かしている)貴卿(御身)を利用する形になってしまったことは……信じては頂けないでしょうが、本当に申し訳ないと思っています、(PCBの名前、騎士なら+卿)」 ・ラインハルトの目的 「セイズマリー公は始祖として、今も真祖と強い結びつきを持っています。彼女に太陽の欠片を宿し、太陽の化身に作り変えれば……いにしえの魔術の一つ『感染呪術』の法則にのっとり、かの紅き月は新たな太陽となる。空は誰も知らない青空へと立ち戻るのです!」 「貴卿には感謝しています、セイズマリー公。貴卿の知識があればこそ、私は空を取り戻す術にいたった。そして、貴卿を使うことで、青空を目にすることができるのですから!」 ・ラインハルトの葛藤 「月が太陽に変われば、紅月の恩恵を受けるもの全てが灰に帰るかも知れない……(PCAを見て)それでも、私は……」 ●セイズマリーのセリフ 「本が……いけない!」「この知識たちは、ダストハイムに生きた騎士がもたらしてくれたもの……だから」「(PC@の名前)卿……ダストハイムの騎士の務めを果たしなさい」 ■幕間  幕間の処理を行い、次の幕へと以降する。 ---------------------------------------------------------------------------- ■終の幕  この幕では、ラインハルトとの最終決戦の場面が描かれる。 ●幕の諸元 ・NPC種別 〔端役〕セイズマリー(熱烈な味方役/基本264ページ) 〔脇役〕“紅蓮の”ラインハルト(データを参照) ・NPC配置 庭園:なし/宮廷:“紅蓮の”ラインハルト/玉座:セイズマリー ・存在点 “紅蓮の”ラインハルト:〔参加PC数x10〕点 ・行動値 “紅蓮の”ラインハルト:〔参加PC数x12〕 ・壁の華 “紅蓮の”ラインハルト:完全に消滅する。 セイズマリー:PCからであれば、図書館の防御に専念する。NPCからであれば、全ての力を振り絞り図書館に防御を施し、意識を失う。 ・絆奏 “紅蓮の”ラインハルト:【任意】 ●口上  DRは次の口上を読み上げる。 「……決着をつけましょう」  ラインハルトは、焼き尽くすものに向けて両手を広げた。  紅蓮の大渦と化した焼き尽くすものが、その胸の中に吸い込まれていく。  そして、ラインハルトの背中に炎が咲いた。  炎は見る間に燃え立つ翼と化して、彼の身体を宙へと浮かび上がらせる。  業火の翼のただ一打ちが、騎士をも滅ぼす灼熱の風となって書庫内を吹き荒れた。 「この身に太陽を宿した以上……私も長くはもたないでしょう」  ラインハルトが苦悶に満ちた声をこぼす。  その言葉の通り、彼の肉体はいたるところが焼け焦げ、炎をあげていた。  彼の命が燃え尽きるのも、もはや時間の問題だろう。 「それでも、この命果てる間際の、たった一瞬だけであろうとも!」   狂える探究者は高らかに咆えた。  臓腑を焼く激痛に苛まれながらも、夢見る瞳でまだ見ぬ空を仰ぎ、叫んだ。   「私は見たい――青く輝く失われた空を!」  ごう、と炎が鳴いた。  羽根のように舞う火の粉の向こうから、黄金瞳が貴卿らを射抜く。  騎士たちよ。勇敢なる騎士たちよ。いざ剣を執りたまえ。  今こそ――決戦の時である。 ●詳細  DRは諸元に従いNPCを配置し、全てのNPCの存在点を公開する。  その後、PCたちをそれぞれ「宮廷」もしくは「玉座」に配置してもらう。  全てのキャラクターの配置が終われば、DRは基本ルールブック236ページの手順に従い、[終の幕]のラウンド進行を開始する。 ・“紅蓮の”ラインハルトについて  ラインハルトは焼き尽くすものを取り込み、太陽の欠片と一体化している。  自らを薪として燃やしながら戦うラインハルトの力は、公爵をも脅かすものとなっている。  これは堕落とは異なり、いかなる手段をもってしても救うことはできない。 ・セイズマリーについて  絶大な力を持つセイズマリーだが、この場面では大図書館を太陽の侵食から守ることに力を傾けているため、戦闘には参加できない。 ●“紅蓮の”ラインハルトのセリフ 「私は知りたい! 眩しい太陽の輝きを、温かな風の囁きを!」「無知から目を背け、盲目の安寧に安らぐことなど、私にはできない!」「知りたいと願うことの……夢を求めることの……何が悪いというのですか!」 (PCAに対して) 「いずれ避け得ぬ滅びなら……私に貴卿(御身)を傷つけさせないでください!」 (PCBに対して) 「以前なら、私が貴卿(御身)と対等に剣を合わせるなど考えられませんでしたね……ははっ、少し、少しだけ……嬉しく思いますよ」 ●セイズマリーのセリフ 「たった一人の民が、これほどの力を……」「知ることは、悪ではありません……それでも、私にはあの方から受け継いだ責任があるのです……!」 ●ラウンド進行終了  “紅蓮の”ラインハルトが[壁の華]になると、ラウンド進行は終了する。 ■幕間  幕間の処理を行い、次の幕へと以降する。 ---------------------------------------------------------------------------- ■後の幕  PCの選択にあわせて、エピローグを語る。 ●PCが全滅した  無限書庫は焼け落ち、貴卿らは結末を見届けることなく紅蓮に呑まれて消える。  お疲れ様でした。 ●ラインハルトの最期  敗北したラインハルトは、燃え尽きた灰と化して消えていく。  最後にPCAとPCBに対して謝罪すると、完全に崩れ去ってしまう。 ●セイズマリー公のその後  セイズマリー公はPCたちの働きを大いに労うだろう。その感謝は、騎士と異端の隔たりなく平等に与えられる栄誉だ。  また、最古の始祖を太陽の脅威から救ったという活躍は、貴卿らの輝かしい[逸話]となるに違いない。  PC@に対しては、特別に手首への口づけを許す。それは何物にも代えがたい誉だろう。 ●騎士たちのその後  それぞれのその後を決めること。  特にPCBについては、「大図書館の見取り図」を手に入れているか否か、その【秘密】を明らかにしているか否かで、今後の身の振り方が大きく変化するだろう。 ■終演後の処理  DRは基本ルールブック230ページの手順に従い、終演後の処理を行う。 ---------------------------------------------------------------------------- ■データ ●セイズマリー・ドラクル・ダストハイム(常の幕) 存在点〔参加PC数×4〕 《無限書庫に在りて》常/10/0/エリア/対象のエリアにいる全ての存在にルージュを1点与える。この[行い]は[玉座]でしか発動できない。 《深遠なる英知の欠片》常/6/0/他の1体/対象に【潤い】を1点与える。この[行い]は[幕]中に1回だけ行える。 《慈悲深き始祖の抱擁》常/6/0/他の1体/対象の持つ任意のノワールを2点減少させる。 《重々しき賛辞》常/5/0/他の1体/対象にルージュと【喝采点】を1点与える。 《頬に触れし指先は》常/2/1/他の1体/対象はルージュまたはノワールを1点得る。どちらの効果を得るかは対象が決める。 ●“紅蓮の”ラインハルト(終の幕) 存在点〔参加PC数×10〕 《射抜く黄金光》戦/3〜15/0〜1/他の1体/対象に「太陽へのノワール」を〔目標値÷3〕で与える。この[行い]は[抗い判定]できない。 《受肉せる絶望》戦/14/舞台/舞台/世界具現化:舞台にいる全ての存在に「太陽へのノワール」を2点与える。以降の[幕]中、舞台にいる全ての存在は【抗う力】を1点減少させる。 《崩壊の時、来たり》戦/14/0〜1/エリア/対象のエリアにいる全ての[端役]を[壁の華]にする。全ての[○○具現化]を取り除く。 《焼却せる極光》戦/14/0〜1/エリア/対象のエリアにいる全ての存在に「太陽へのノワール」を3点与える。さらにこの効果を受けた対象が[○○具現化]を持たないとき、【渇き】を1点与える。 《輝ける左手》戦/12/1〜2/他の1体/対象に「太陽へのノワール」を3点与える。 《内より溢れる陽光》戦/7/自身/自身/刻印具現化:貴卿が与える「太陽へのノワール」を1点上昇させる。 《夜天砕く紅蓮の翼》戦/15/0/他の1体/対象の[絆]に加えられているルージュを全て取り除く。